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『スパイダーマン3』のDVD [本日のお買い物]

ずいぶん前になりますが、パラグアイではCD・DVDの海賊版が大量に出回っており、白昼堂々売り買いされている様子について、ご紹介したことがありました(2006/1/28 の記事)。DVDは結構新しめの映画も揃っていて、通りすがりに海賊版DVDのお店を覗くと、『プラダを着た悪魔』『硫黄島からの手紙』や『ロッキー・バルボア』(邦題『ロッキー・ザ・ファイナル』)などの新作どころも目にします。「さすがに『スパイダーマン3』はまだだよね」(日本では5/1、アメリカでは5/4公開)と思っていた矢先の、先日5月9日の朝、ちょうど通りかかったホテル近くの海賊版の屋台で、入荷直後といった様子の『スパイダーマン3』のDVDを発見! 念のため、『スパイダーマン・トレス』(“トレス”=スペイン語で“3”のこと)かどうか訊ねたところ、「そうだ」とDVD屋のおじさんが答えるので、値段が他の新作より若干安め(15000Gs、日本円で約370円)だったのと、お店のおじさんがあまり視線を合わせようとしないのとが多少気にかかったものの、早速買ってみたわけです。

中身はDVD-Rで、プリンタブルの表面にはタイトルなどの表記は一切なし。ノートパソコンに入れて見てみたら、これがもう、ヒドイのなんの・・・。どうも中国の映画館で隠し撮りしたものらしく、カメラの前を人が横切るくらいならともかく、右側1/3ぐらいが常に人のアタマの影になっていて、真っ暗で何も見えません。さらに、字幕(中国語)が入っている下の部分を画像処理で無理矢理カットしているため、結局通常のスクリーンの半分程度の映像しか見られないという有様なのです。そして、音声は当然中国での放映時のオリジナル音声(英語)のみで、スペイン語字幕はなし。これではスペイン語を話すパラグアイ人にはストーリーが理解できませんよね? どうりでお店のおじさんが伏し目がちだったワケですが、それにしても、公開後一週間程度で、中国で隠し撮りされたものがコピーされ、地球の裏側の南米で売られているのですから、違法商品の流通の速さも、なかなかどうして侮れません。

結局そのDVDは見ないまま2日が過ぎた昨日のこと。市場からの帰り道、海賊版DVDショップの並ぶ通りを歩いていたところ、一軒のお店のTV画面に、見慣れない黒いスパイダーマンの姿が・・・。「おや」と思って見てみると、そこのお店に、先日の物とはまた別のパッケージの『スパイダーマン3』が置いてあるではないですか。少し大きなお店になると、試聴用のDVDプレイヤーを備えていて、宣伝用に映像を流すとともに、お客の希望があればそれで中身を確認させるシステムになっているのです。私も念のため、店頭にあった『スパイダーマン3』をそのDVDプレイヤーで再生してもらおうとしたところ、店員のお兄さんが、今ちょうど宣伝用に流していたディスクを取り出して、それをケースに戻して売ってくれました。写真下が、その2軒目のお店で買った『スパイダーマン3』。いかにもプリンターで刷ったようではあるものの、盤面も一応印刷されており、ジャケットにはバーコードも入っていて、先日買ったものよりはずっと本物に近い感じがします。中身はやはりDVD-Rで、ノートパソコンで再生してみたところ、こちらは映画館での隠し撮り映像ではなく、ちゃんとスペイン語の字幕が入っており、画質・音質的にもこれといって問題なし。また、メニュー画面からのチャプターの選択も可能で、商品としての仕様も整っています。『スパイダーマン3』のDVDソフトは当然まだ発売されていないので、ソフト制作用に用意していたマスターディスクのデータが流出したとしか思えないのですが・・・、実際のところはどうなのでしょう。なお、こちらの海賊版のお値段は30000Gsで、映画館で見る場合、料金は時間や曜日によって若干の差はあるものの大体8000~20000Gsくらいですから、家族みんなで何度も見るなら、こういったものを買ったほうが、ずっとおトクになるのでしょう。

こうやって写真に収めてみると・・・。どうです? 本物のDVDソフトのように見えませんか? ディスク1枚に映画1話のみのこのDVDは、パラグアイの海賊版としては大人しい方で、ものによっては、DVD-R1枚に映画を3話入れたものなども普通に売買されています。以下はCDに関してのデータであり、以前の記事でも書いたとおりですが、国際レコード産業連盟が2005年に発表した、2004年における海賊版CDの流通状況についての報告書によると、海賊版対策を強化すべき重点地域として挙げられたパラグアイは、国内で売られているCDのうち何と99%を海賊版が占めているのだとか(2位は中国の85%)。「海賊版以外のCDを探すこと自体が難しい」だなんて、日本ではちょっと考えられない状況で、こうなってくると、パラグアイにおける正規版CDというのは、自国の民族音楽を演奏・録音した自主制作CDしかないのではないかと思えてきます。聞くところによると、パラグアイはこういった海賊版商品の流通拠点になっており、パラグアイ国内を経由したのち北米やヨーロッパに運ばれていくケースが多いのだとか。なお、海外で海賊版商品を買うこと自体、当然胸を張って言える話ではないのですが、違法コピー商品を日本へ持ち込もうとすると、税関で“任意放棄を求められる”そうですから(つまりは没収ってコト。そしておそらく“税関係員によるお小言”のオマケつき)、こういったものは、仮に買っても、日本へは持ち帰らないのが賢明ではないかと思います。


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