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パラグアイのお金と為替レート [パラグアイの物価]

パラグアイでのモノの値段について書く前に、簡単にパラグアイのお金に関する基本情報をご紹介しておこうと思います。パラグアイの通貨単位はグァラニー(Gs)で、お札は1000、5000、10000、20000、50000、100000Gsの6種類。こちらパラグアイは恒常的なインフレ状態にあるため、貨幣の価値が大変低く、お札にしてもモノの値段にしても、日本に比べてゼロが多く並ぶのが特徴です。為替レートは2007年5月現在で、100円=約4000Gs、1ドル=約5000Gsとなっています。

 
写真左上は、1000Gs紙幣の裏表。「1000」というと、結構使いでのありそうな金額に見えますが、実際に1000Gsで買えるのは、瓶入りコーラ(190ml入り)1本か、パラグアイのチーズパン“チパ”の小サイズ1個がやっと。そのため、何を買うにも当然お札を使うことになるのですが、最小紙幣であるこの1000Gs札は、日本の1000円札と違ってまったく大事にされておらず、変色してくしゃくしゃになったもの、またセロテープで補修されたものなどがたくさん出回っています。まぁ、1000Gsは日本円に換算するとたったの約25円ですから、そんな扱いを受けているのも分からないでもありません。

写真右上の硬貨は、銀色の方が50Gs硬貨、金色のものが100Gs硬貨の、それぞれ裏と表です。硬貨は1、5、10、50、100、500Gsの6種類があるそうですが、10Gs以下のコインはまず使われていないようで、私は今まで見たことがありません。それも仕方のない話で、1、10Gsはそれぞれ日本円で約0.025円と、約0.25円。ほとんどお金としての価値がないため、買い物の際も1Gs単位での金銭の受け渡しはせず、端数は適宜切り捨てるか切り上げられます。よって、写真右上の50Gs硬貨が、お釣りでもらういちばん小額のコインになります。

為替は2007年5月現在で、100円=約4000Gs、1ドル=約5000Gsのレートですが、2005年12月時点では、100円=約5000Gs、1ドル=約6000Gsだったので、円やドルに対するグァラニーの価値が、この約1年半で若干上がったことになります。しかし、パラグアイの経済が上向いているのかというと必ずしもそうではなく、ダンナの仕事仲間のパラグアイ人男性によると、「アメリカなどに出稼ぎに行っていた人が持ち帰った外貨が、国内にあふれているからではないか」とのこと。パラグアイは人口約600万人の小さな国ですから、その程度のことで為替レートが変わるというのも、案外起こり得る話なのかもしれません。なお、そのためかどうかは不明ですが、アスンシオンでは昨年まで2100Gsだったバス代が、2000Gsに下がるという不思議な現象が起きました。バスや電車などの料金というのは常に高くなるもので、下がることはないと思い込んでいただけに、これは本当に意外な出来事でした。

お札にしてもモノの値段にしても、日本で見慣れた価格よりゼロの数が多いため、すべてが高額に見えてしまい、未だにこちらの金銭感覚になじめません。「10000」と書かれたお札を使うのは、なんとなく勇気がいるものですが、日本円に換算すれば、10000Gsはたったの250円。「2万も持っていけば大丈夫だろう」と思ってスーパーマーケットに行くと、あれこれ買い物をしているうちにお金が足りなくなってしまうのも、考えてみれば当たり前で、どんなにモノが安いとはいえ20000Gsは日本円で500円程度ですから、買える品物も自然と限られてきます。また、日本円でたった数百円のものを、「10000? 高い!」と見た目の金額にダマされて、買わずに帰ってきてしまったり、「こっちのお店の方が2000Gsも安い!」と喜んでみたものの、日本円に換算すると、実際は40円程度しか違わなかったり・・・。「数字のマジック」と言うとオオゲサですが、ケタが違うがために感じる違和感は、なかなか消えてなくなりません。


こちらの写真を見れば、私が常日頃感じている違和感を理解してもらえるのではないでしょうか。写真上は、ショッピングセンターのウィンドウ。日本円の感覚でこの値札を見ると、「ケタが違う!」と頭がクラクラしてくると思います(ダンナも初めてパラグアイに着たとき、紳士物のシャツが58000Gsで売られているのを前にして、思わず目を疑ったと言っていました)。なお、高額な時計やデジタル家電、自家用車などは、グァラニー表示ではあまりにもゼロが多く分かりにくいため、金額の高い物はドルに換算して表示するケースが多いようです。なお、1995年の資料では1ドル=約2000Gsとあり、十数年でドルに対するグァラニーの価値が半分以下に下がったわけですが、インフレでゼロが極端に多くなったとき、「いっせーの、せ!」でみんな同時にゼロを3つ取ったりする、いわゆる“デノミ”は、隣国ブラジルではたびたび行われ、同時に通貨単位も変更されているのに対し(現在のブラジルの通貨単位レアルは1994年から使用)、パラグアイでは近年デノミは実施されていないのだそうです。

なお、朝日新聞にも載ったらしいので、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、お金の話ついでに、昨年パラグアイ経済に起こった、とある事件についてご紹介します。2006年10月、フランスで印刷され、パラグアイへの輸送途中だった50000Gsの新札200箱のうち5箱が、アスンシオンに着いた時点で、消えてなくなっていたというのです。盗まれたのは、途中輸送船が寄港したブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの恐らくどこかで、被害額はなんと、日本円にして約2億7000万円!! これを受けてパラグアイ財務当局は、この50000Gsの新札すべてを無効にするという声明を、急遽発表したのだそうです。


写真上が、パラグアイ中央銀行による、「使用できない50000Gs紙幣の見分け方」。赤丸で囲ってある箇所が、今回無効になった50000Gs紙幣の特徴で、「番号がCから始まる」「2005年のシリーズ」「左端に星マークがある」などの点が示されています。今後、色や柄を変えた新札の発行を検討しているそうですが、自国で印刷する技術もないような国なのに、無効にした50000Gs紙幣の印刷代や今後の対応も含めてとんだ出費となり、この痛手はさぞ大きいだろうと思われます。


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