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愛しのチパ [本日のランチ]

パラグアイに数ある“おいしいもの”の中に、「再びコレを食べるため、またはるばる日本からやって来た」と言っても過言ではないほど、私の心をとらえて離さない食べ物があります。それは、上に写真を載せた、パラグアイの代表的なスナック「チパ(chipá)」。チパは、マンディオカ(別名キャッサバ)という芋の粉と、とうもろこし粉(コーンミール)、卵、バター、パラグアイ製チーズなどで作るチーズパンの一種で、食事パンというより、ファストフード的な位置づけにある食べ物です。今回は、パラグアイで買うチパについてご紹介してみたいと思います。

 
写真左上は、セントロの目抜き通りに並ぶ、チパのスタンド。10メートルほどの間隔を置いて、何人もの売り子が店を出しています。こうしたスタンドに加え、お昼過ぎから夕方にかけては、チパを山ほど積んだカゴを頭にのせ、「チ~パ~」と呼び声を上げながら売り歩く人たちの姿も見られます。もちろんスーパーマーケットなどでも売っていますが、おススメはチパ専門のチェーン店。店内のオーブンで焼いているため、いつでも出来たて熱々のチパを買うことができるのです。(なお、チパはパラグアイの他、アルゼンチンでも食べられており、先日乗継ぎで訪れたブエノスアイレスにも、上の写真とよく似たチパのスタンドがありました。1つ買って食べてみましたが、味はパラグアイのものとほとんど同じだったようです。)

チパの形は、写真右上にあるようなドーナツ形やナマコ形が多く、お値段は小さいもので1000Gs(Gs=グァラニーはパラグアイの通貨単位)。単純に日本円に換算すると約25円ですが、こちらの人にとっては、だいたい日本での100円ぐらいの感覚ではないかと思います。瓶入りコカコーラ(190ml入り)と同じ値段で買いやすく、ちょっと小腹がすいたときのおやつとして人気があるようです。写真左下は、休日のメインストリートで売られていたハト形のチパ。これは観光客向けのようでした。

 
写真右上は、チパの断面。表面は適度に固くカリッとしているのに、中はモチモチとして噛み応え充分。日本のパン類にはないこの独特のモチモチ感は、材料のタピオカでんぷん(マンディオカの粉)によるものではないかと思います。マンディオカの粉から作られるパンとしては、他にブラジルのポンデケージョがあり(日本のパン屋では「もちもちチーズ」などの名でも売られている)、いずれももっちりとした食感が特徴ですが、小ぶりで軽いポンデケージョに比べ、中までしっかり目の詰まったチパは、味も、持った感じも、はるかにずっしりとしています。断面のところどころに見える黒い粒は、香りづけに使われるアニスシードというスパイス。日本ではあまりなじみのない香りがするものの、チパ作りにはどうやら欠かすことのできない材料のようです。なお、通常のオーソドックスなチパ以外にも、さらにチーズをプラスしたもの、具にひき肉と卵を入れたもの、塩ゆでしたピーナッツを生地に練り込んだものなど、他に色々なバリエーションがあります。

街のスタンドで買うチパもおいしいですが、焼き立てはこれまた格別で・・・。チーズとアニスのにおいに特徴があるので、慣れるまでは少し違和感があるかもしれませんが、何度か食べるうちに病みつきになること請け合いです。日本では、古くはあの“カヌレ”以来、「モチモチ食感」を売りにしたパンのブームが今なお続いており、大手製パンメーカーは「もちもち」や「もっちり」を商品名に冠した製品を次から次へと開発・発売しています。また、ブラジルのポンデケージョをモデルにしたミスタードーナツの“ポン・デ・リング”が発売以来の人気を誇っていることなどから見ても、パラグアイのチパだって、もし日本の製パンメーカーやカフェチェーンが販売を始めたら、そこそこブームになるはずだと思われてなりません。・・・と言うより、「日本でも食べたいから売ってほしい」、だたそれだけのコトなんですが。チパにビジネスチャンスを見出してくれる、そんな奇特な方の出現を、心よりお待ちしています。

※マンディオカについては、以前「マンディオカ(前編・後編)」(2006/1/19~20)としてまとめた記事がありますので、興味のある方はぜひそちらもご覧ください。


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