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ぶらり路線バスの旅:パラグアイ編 [アスンシオン点描]

「皆さんこんにちは、山〇良一です。今日の『ぶらり路線バスの旅』は、南米パラグアイの首都アスンシオンから、九州竹田市の姉妹都市であるサン・ロレンソ市まで、約15㎞の道のりを旅していきます。今回はどんな旅になるんでしょうねぇ、楽しみです!」


「さて、バスはどこから乗るのかなぁ? バス停らしきものが見当たらないんだけど・・・。あ、あの人、手を横に挙げて合図していますよ。そうか、あれで停まってくれるのか。よし、じゃあ、次のあのバスを停めてみましょう」

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「あ、バスが近づいて来ましたよ。しかしずいぶんハデなバスだねぇ。運転手さん、このバス、サン・ロレンソ方面に行きます? ああ、よかった。ええと運賃は・・・2100Gsか。日本円で40円とは有難いねぇ。おおっと、ドアを開け放したまま走り出しちゃいましたよ。危ないので、とりあえず奥の座席に座りましょう。そ、それにしてもこのバス、ずいぶん揺れるなぁ・・・。何だろうね、この運転の荒っぽさ。ディズニーランドの“ビッグサンダー・マウンテン”かと思っちゃったよ。運転手さん、くれぐれも安全運転でお願いしますよ」

「おやおや、何か大きなカゴを持った人が乗り込んできましたよ。運賃払ってないけど、いいのかなぁ・・・。あ、この人売り子なんだ。え? チパ? ああ、市内のあちこちで売っている、あのチーズパンのことね。よし、僕も買ってみよう。おじさん、1個いくら? はいはい、1000Gsね。こちらの人の感覚としては100円くらいかなぁ。モグモグ・・・。うん、うまいうまい。だけどこれ、ノドが渇くねぇ・・・」


「お、ちょうどいいところへ、生ジュースの売り子が乗ってきました。見たところオレンジジュースみたいだけど、あのお兄さんが絞っているのかなぁ。なんか、手ェ洗ってなさそうだし・・・。おなか壊したら大変だ、やめときますか。よしよし、今度はコーラの売り子が乗ってきたぞ。瓶コーラとは古風だねぇ。おやおや、まだ子供じゃないの。坊や、1本ちょうだい。これも1000Gsか。あら、瓶からプラスチックのコップに注いでくれるの? ずいぶん親切だねぇ。ありがと、坊や」

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「それにしても、さっきからいろんな売り子が乗ってくるなぁ。お兄さんは、語学の本か。パラグアイのふたつの公用語、スペイン語とグァラニー語、それからブラジルのポルトガル語、この1冊でOKだって。チェックのシャツのおじさんは、何か持ちながら宣伝文句をしゃべっているみたい。あ、あれ、電卓じゃないの。バスで電卓・・・、売れるのかねぇ」

「果物の売り子が降りていったと思ったら、今度はパンツの替えゴム屋さんが乗ってきたよ。売り手の人は意外とアッサリしていて、売れないと判断すると、すぐ降りて次のバスに乗りかえてるね。売り子はバス代不要みたいだから、こうやって売りながら出かけていって、売りながら帰ってくれば、交通費がかからなくて便利だなぁ。乗客にしてみても、バスに乗ったまま買い物ができるなんて、なかなか画期的じゃないですか。日本でもこういうの、やってみたらどうですかね」

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「あれ、今度の二人連れはギター持ってる・・・。ああっ、ギターを弾きながら歌い出しました。曲はパラグアイの民謡かな? おっと、後ろからおばさまが乗ってきましたよ。ちょっとアンタたち、邪魔よってな感じでしょうか。ミュージシャンの二人はヒョイとネックを持ち上げて、ハイ、どうぞ、お通りくださいって、いやはや、慣れたもんです。しかし、絶妙のハーモニーで、なかなか聴かせますねぇ。なるほど、乗客のチップがお目当てなのね。相場は1000Gsか。よし、僕も渡してみよう。それにしても、飽きさせませんよ、このバスは」

「楽しいのはいいんだけど、通りの電光掲示板には42℃って出ているのに、このバス、クーラーがついてなくて暑いんだよねぇ。他の路線バスもみんな同じみたいだけど・・・、あ、今すれ違ったバス、運転手側のフロントガラスがなかったぞ。あんな車、公道走ってていいんですか? おや、向こうのバスは、路肩に停まってるけど故障かな? あらら、乗客が降りてきてみんなで押し始めましたよ。いや~、すごい国に来ちゃったなぁ~。とりあえず走ってくれているだけで有難いと思わなきゃいけないね」


「そろそろこの辺で一度、降りてみますか。けど、日本の路線バスにある、降車合図の押しボタンが見当たらないな。降りるときはどうすればいいの? あ、天井に渡してあるヒモを引っ張ってる人がいる。なるほど、あれが降りる合図なのね。よし、このヒモを引っ張ってと・・・。ん? ああっ、停まりません。微妙に徐行するだけです。こりゃ、危ないなぁ。女性の乗客の場合はちゃんと停まるみたいだけど、男は適当なところでタイミング見計らって飛び降りろってことですか。日本のバスとは大違いだねぇ。よし、じゃあ、僕もこの辺で・・・。えいやっと! ああ、危なかった~。この国ではバスから降りるだけでも一苦労だね」

「おやおや、あれ、何でしょうね。通りに人がたくさん集まっていますよ。皆さ~ん、何してらっしゃるんですかぁ?」 (以下略)


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